【永久保存版】革靴用語を簡単に解説します

こんにちは、shiroの矢倉です。

このブログでは、革靴オーダーメイドシューズ(ハンドメイドシューズ)にまつわる専門用語を分かりやすくまとめています。普段の生活ではあまり耳にしない言葉も多いと思いますが、知っておくと革靴選び靴のお手入れカスタムオーダーの際に役立つはずです。

ここでは、靴の部位・材料・道具・作業工程と大きく4つのカテゴリに分けて解説していきます。もし気になる用語やご質問がありましたら、ぜひ当ブログのコメント欄にお気軽にお寄せください。みなさまの疑問やご要望から、HPの更新やさらなる情報発信のヒントを得られれば嬉しいです。

私のHP(ホームページ)では、オーダーメイドシューズの紹介修理の受付なども行っていますので、革靴に興味のある方はぜひそちらもご覧ください。きっと、新しい発見やお気に入りの一足が見つかるかもしれません。


目次

      1. 靴の部位に関する用語

      1. 材料に関する用語

      1. 道具に関する用語

      1. 作業工程に関する用語

      1. おわりに


    靴の部位に関する用語

    まずは靴の基本構造や各パーツの名称です。革靴の印象を左右する重要な要素が多く含まれています。

    アッパー(Upper)

    足を包むメインの部分であり、革靴の見た目を大きく左右します。以下のように細かいパーツに分かれています。

        • カウンター(Counter):靴の後部(かかと周り)を補強するパーツ。形状を安定させ、足首を支える役割があります。

        • クォーター(Quarter):靴のサイドから後方にかけての部分。

        • ヴァンプ(Vamp):足の甲からつま先にかけて覆う部分。革靴の顔とも言える箇所。

        • トウ(Toe):靴の最前部、つま先部分。好みやスタイルに合わせて形状が変わります。

      ライニング(Lining)

      アッパーの裏側に貼られた内張りの革。吸湿性・通気性を高め、履き心地を左右する重要な要素です。

          • カウンターライニング:かかと側のライニング。

          • ヴァンプライニング:つま先側のライニング。

        アイレット(Eyelet)

        靴紐を通す穴のことです。

            • 裏側補強タイプ:表から見えない位置に金属の輪が配置され、見た目がすっきり。

            • 表側補強タイプ:穴の周囲に金属リングが見えるタイプ。

          オックスフォード(Oxford / 内羽根)

          羽根(靴紐を通す部分)が甲革の下に隠れる「内羽根式」。ドレスシューズやビジネスシューズに多いスタイルです。

          ダービー(Derby / 外羽根)

          羽根が甲革の上に重なる「外羽根式」。比較的カジュアルからセミフォーマルまで幅広く活躍します。

          バーテック(Bartack / カンドメ)

          羽根の根元が開きすぎないようにするための補強ステッチ。主にダービーの羽根付け根で見られます。

          ビーディング(Beading)

          トップライン(履き口)部分に、細い革をアッパーとライニングの間に挟み込む仕様。高級感が増します。

          パイピング(Piping)

          履き口の端をぐるりと革で巻き込み、縫い付ける仕立て。強度とデザイン性を両立します。

          トウパフ(Toe puff / 先芯)

          つま先内部に入れる芯材。シャープな形状から丸みのある形状まで、靴の表情を大きく変える大事なパーツです。

          カウンタースティフナー(Counter stiffener / 月形芯)

          かかと部分の芯材で、形をしっかり保持します。「月形芯」と呼ばれます。

          アウトソール(Out sole)

          靴底の最も外側で、地面に接触するパーツ。革底やゴム底などがあります。

          ミッドソール(Mid sole)

          アウトソールの上に重ねる中底。2~3mm程度の革を用い、ダブルソール(二重底)の一部を構成します。

          インソール(Insole)

          靴の内側の底面。直接足が触れる部分なので、素材やフィット感が重要です。

          ヒール(Heel / 積み上げ)

          靴のかかと部分の高さを出すため、複数枚の革やラバーを重ねたものを「積み上げ」と呼びます。

          トップリフト(Top lift / 化粧)

          ヒールの最下層に貼るパーツで、地面に当たる部分。修理の際はこのトップリフトを交換することが多いです。

          コバ(Edge / コバ)

          ソールの側面部分。靴のデザイン性を左右する大事な要素で、「張り出したコバ」や「すっきりしたコバ」など、印象が大きく変わります。

          ウェルト(Welt)

          アッパーとアウトソールを縫い合わせるために、靴の周囲をぐるりと取り巻く細い革。靴の強度と修理のしやすさに直結します。

          シャンク(Shank)

          土踏まず部分に入る硬い補強材。金属や木、合成樹脂などが用いられます。

          詰め物(Fillings / ナカモノ)

          インソールとアウトソールの間を埋める素材。主にコルクが使われ、クッション性と断熱性を補います。


          材料に関する用語

          続いて、靴に使われる主な素材や革の特徴についてまとめました。素材を知ると、靴の仕上がりやメンテナンス面の理解が深まります。

          カーフ(Calf)・キップ(Kip)・牛革(Cow leather)

              • カーフ:生後6か月未満の子牛の革。きめ細かく柔らかい高級素材。

              • キップ:生後2~3年程度の牛革。カーフと成牛の中間的な存在。

              • 牛革(Cow leather):一般的な成牛の革。耐久性もあり、さまざまな価格帯で流通。

            コードバン(Cordovan)

            馬の臀部(尻)付近からとれる希少な高級革。繊維密度が高く、独特の光沢と「コードバン皺」と呼ばれる美しいシワが特徴です。

            銀面 / 吟面(Grain)・床面(Flesh side / トコ面)

                • 銀面(グレイン):革の表面。スムースな質感で、見た目に大きく影響する部分。吟面と表記することもある。

                • 床面(トコ面):革の裏面。起毛しており、スエードなどに加工される部分。

              タンニン鞣し(Vegetable tannage)・クロム鞣し(Chrome tannage)

                  • タンニン鞣し:植物由来の渋(タンニン)を使い、硬めでエイジングが楽しめる。ソールや小物に向く。

                  • クロム鞣し:クロム系薬品を使い、柔らかく色が鮮やか。アッパーやバッグなどに多く用いられる。

                オークバークソール(Oak bark sole)

                オークの樹皮を使った伝統的なタンニン鞣し。1年ほどかけてじっくり鞣され、非常に丈夫で独特の香りがあるのが特徴です。

                リネン糸(Linen thread / 麻糸)

                アウトソールステッチやハンドステッチに使われる強度の高い糸です。

                チャン(Cobbler’s wax / チャン)

                リネン糸を強化するための混合ワックス。ロジン(松脂)・蜜蝋・油を合わせて作ります。

                伸び止めテープ(Stretching prevention tape)

                トップラインなど、伸ばしたくない部分に貼る補強用テープ。靴の形崩れ防止にも有効です。

                コルク(Cork)

                靴底の詰め物として使う代表的な素材。板状の「プレートコルク」と、練り状にした「練りコルク」があります。

                インク(Inks / ソールステイン)

                ソールの仕上げに使う塗料。着色タイプと無色タイプがあり、革底を保護し、色味や光沢を出せます。

                ボンド(Bond)・グルー(Glue)

                    • ボンド:カウンター芯などを貼り付けるときに使う接着剤(私の場合の呼称)。

                    • グルー:底材を貼るときに使う黄色い液状の接着剤。有機溶剤系と水溶性の2種類がある。

                  (近年は環境配慮の観点から、水性接着剤を採用するケースが増加中です。)


                  道具に関する用語

                  靴作りに用いられる道具は特殊なものが多く、それぞれ独特の名前や形状をしています。

                  ラスト(Last / 木型)

                  靴の骨格となる型。足の形を左右し、靴の履き心地やシルエットを決める最重要ツールです。

                  革包丁(Leather knife / カワボウチョウ)

                  革をカットしたり、端を斜めに削いだりするための専用ナイフ。

                  コテ(Iron / アイロン)

                  先端の金属を熱して革を整える道具。用途に応じて形状や大きさが異なります。

                      • エッジ用アイロン:コバ(ソール側面)を美しく仕上げる。

                      • イチョウゴテ(Glazing iron):ヒールやコバを広い面で滑らかにする。

                      • ウィール(Wheel):アウトソールステッチ時の目打ちに使うギア状の道具。

                      • シートホイール(Seat wheel):ヒール部分の装飾を施す。

                      • 目付けゴテ(Seam detailer):ウェルトにギザギザ模様をつける。

                      • 小口ゴテ(Bevel iron):ソールに細かい段差模様を刻む小さなアイロン。

                    面ヤスリ(Heel rasp / メンヤスリ)

                    ヒールの形を整えるための道具。片面だけに目がある特殊な形状をしています。

                    チャネルナイフ(Channel knife)

                    インソールやソールに溝を掘るためのナイフ。ステッチを隠す「伏せ縫い」などに活躍します。

                    千枚通し(Awls / アウル)

                        • 出し縫い用(Dashibari):アウトソール縫いに使用。

                        • すくい縫い用(Sukuibari):ウェルトステッチに使用。

                        • ガリ(Gari):ソールに溝を彫り、縫い目を収めるため先端が曲がったアウル。

                      コクリ棒(Burnishing wood / コクリボウ)

                      木製の棒状ツールで、ソールやコバ、革の表面を擦ってツヤを出し、滑らかに仕上げます。

                      木ヤスリ(Rasp / キヤスリ)

                      コルクや革、木型などを大きく削るときに使用します。粗めの作業で形を大きく整えます。

                      ワニ(Lasting pliers / ラスティングプライヤー)

                      吊り込み(ラスティング)作業に欠かせない、靴作り特有のペンチ。歯がワニの口のようになっていることが名称の由来です。

                      ウマ(Seam shaping form / ウマ)

                      独特な形の木製台で、アッパーを縫製するときなどに使われる補助具。

                      ガラス片(Pieces of glass)

                      割った鏡などのガラスを用い、革の表面やコバの小さな凹凸を削る職人技です。

                      パターン(Pattern)

                      厚紙で作成する靴の型紙。デザインやサイズ感を決める設計図として、非常に重要な工程です。

                      ミシン(Sewing machine / ミシン)

                      アッパーを縫う工業用ミシン。100年以上ほとんど形状が変わっておらず、歴史的にも興味深い道具です。

                      革すき機(Skiving machine / カワスキキ)

                      革の厚みを均一に削るための機械。アッパー製作の際、重なり部分を薄くするのに役立ちます。


                      作業工程に関する用語

                      いよいよ靴作りの工程に関する用語です。手作業と機械作業が組み合わさり、ひとつの靴が完成します。

                      ラスティング(Lasting / 吊り込み・ツリコミ)

                      アッパーを木型にぴったり沿わせ、立体的な形状にする工程。靴のフォルムが決まる最初の重要ステップです。

                      ウェルトステッチ(Welt stitching / すくい縫い・スクイヌイ)

                      吊り込んだアッパーにウェルトを縫い付ける作業。グッドイヤーウェルト製法ハンドソーンウェルト製法の要となる工程です。

                      アウトソールステッチ(Outsole stitching / 出し縫い・ダシヌイ)

                      ウェルトを取り付けたアッパーとアウトソールを縫い付ける工程で、靴の堅牢度を大きく左右します。

                      革すき(Leather skiving / カワスキ)

                      革を重ね合わせる際、段差を最小限にするために端を斜めに削る作業。アッパーでもソールでも必要な場面があります。

                      その他の代表的な製法

                          • ハンドソーンウェルト製法:ウェルトステッチとアウトソールステッチを分ける伝統的な手法。修理しやすく耐久性が高い。
                          • グッドイヤーウェルト製法:ハンドソーンウェルト製法の”掬い縫い”の工程を機械にてL字型のリブテープを介しウェルトを縫いつけたもの。

                          • マッケイ製法:アッパー・中底・アウトソールを一度に縫い付ける。屈曲性に優れ軽量ですっきりした見た目になりやすい。


                        おわりに

                        いかがでしたでしょうか?ここまでに紹介した用語だけでも、革靴と靴作りの世界には多くの専門知識が詰まっていることがお分かりいただけたと思います。こうした専門用語を知ることで、靴選びやメンテナンス、オーダーを検討する際に、より納得のいく選択ができるはずです。

                        もしこの記事をご覧になって、「もっと詳しく知りたい」「こんな靴を作ってほしい」「修理・カスタムを相談したい」など、ご質問やご要望がありましたら、どうぞ当HPのコンタクトページより気軽にご連絡ください。HP、Instagramをぜひチェックしていただき、オーダーメイド靴の事例店舗情報なども併せてご覧いただけると嬉しいです。

                        これからも、革靴の魅力靴づくりの楽しさを発信していきますので、ブログの更新を楽しみにしていてくださいね。最後までお読みいただき、ありがとうございました!

                        shiroより
                        「靴づくりは知れば知るほど奥が深く、でもその分、愛着や魅力も増していきます。あなたの足にぴったり合う一足を、一緒に追求していきましょう!」


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